事件は会議室で起こっているんじゃない。スーパーで起こっているんだ ★★ 39点(100点満点)
エントリーを書く時に、いつもどのカテゴリーかを選択するんだけれど、この「県庁の星」は、どれに入れるか迷った。社会派と言うほどシリアスな設定でないし、コメディーにするほど面白くもない。結果はドラマだけどそんなに感動する話でもない。ドラマって言ってもテレビドラマの延長線上にある作品ですな。それもそうフジテレビの映画。
テレビ局が映画界に進出して久しいけれど、それについて賛否がある。賛については、日本映画界を活性化させたこと。下世話な話、予算も以前とは格段の違いでつけられて、映画自体が豪華になった。いわゆる大作モノが日本で作られるようになったのはこのおかげ。以前は同人映画の延長のような作品ばかりで、映画ファンでも観られたモノではなかったのが正直なところ。
否の部分を言えば、それはまさしく、映画を撮る手法がテレビドラマのの延長上のモノになったこと。こればっかりは必ずしも否定的な要素ばかりではない。それ以前の日本映画は先に書いたように、同人的映画の延長線上の作品がまかり通っていたことを考えれば、肯定的要素も多分にある。だけど、日本映画の技術力が向上して、観客の目が肥えてくれば、金を払ってテレビドラマを見る必要性について考えたくなるのもこれまた人間心理。そんな深みにはまったのがこの作品。
▽▼ネタバレあり▽▼
主人公が県庁のキャリアというのは面白いけど、どうしてもそこまで。今ひとつ消化しきれていないのは、脚本がなんとなく観たことある作品の焼き直しな事。これに限らず、フジテレビの作品は同じような構成なんだけどね。ここまで似ていると、何か量産のプロットがあるのか勘ぐりたくなってしまう。主人公が警察官だったり、海上保安官だったり、県庁のキャリアだったり。大抵は主人公が「民間」の気持ちが判っていて、その主人公が官僚組織に抵抗するというもの。
この作品で言えば、主人公は必ずしも最初から「民間」の人たちの気持ちを理解しているわけではなく、むしろ官僚側の人間で、人事交流で派遣されたスーパーの人たちとの交流を通じて、それが「判る」人間に変わっていくこと。あるいみ定番と言えるストーリーだけど、マンネリと言えばマンネリ。中盤に試練をもってくるのもフジ系映画の特徴。県庁内でエリートコースから外れたり、婚約者との婚約破棄、スーパー内での孤立はある意味定番ですな。で、それを乗り越えたと思いきや、スーパーは消防と保健所の査察を受けて廃業の危機になる。制作者サイドはこれを1つの山場にしたいんだろうけど、観ている方からすると、査察なんて日常的なことで当たり前のことでしょと思うわけですよ。まったく感情移入ができないんですな。
でっ、この映画はそこで終わるわけではないんですな。ただの定番映画で終わりたくなかったのか、ここからが全くの蛇足。県の委員会?で主人公が愚見を述べるわけです。いわゆる県民の気持ちに立った意見を。そこで、箱物行政を進める議長派と対立するも、市民派の知事は一定の理解をすると言う姿勢を見せるんですな。
▽▼珍しく結末までのネタバレあり▽▼
問題は、その織田裕二が主人公の案が評価されるも「前向きに検討する」という官僚独特の「拒絶」の言い回しで棚上げにされる訳です。この映画を訳のわからないものにしているのはこの部分。変に社会派的な要素を出そうとして失敗してしまった典型。この部分をなしにして終われば、ありきたりだけど一定の評価を受ける作品。変な部分を欲をかいてつけてしまったため、映画自体を後味の悪いモノにしてしまっている。結局何もかも中途半端な作品に仕上がってしまっているんですな。
柴咲コウのスーパーの店員は似合ってたな。これだけは評価できるかも。





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